UECポケモンだいすきクラブ

電気通信大学公認サークル「UECポケモンだいすきクラブ」です。 ゲーム対戦はもちろん、カードゲームやお絵かき活動などポケモンに関わる様々なことをしています。

【ブログリレー延長戦3日目】役割論理学概論第一

役割論理学概論第一として、最高にロジカルな戦い方、役割論理を説明します。

 

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この記事はUECポケモンだいすきクラブ10周年カウントダウンブログリレー延長戦3日目の記事です。

uecpokemon.hatenablog.jp

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まえおき

 はじめまして、22生のかつです。基礎知識として、3値(個体値種族値、実数値)とポケモンバトルにおけるちょっとした知識を理解しているといいと思います。また、HP→H、攻撃→A、防御→B、特攻→C、特防→D、素早さ→Sと略すことがあります。では、本文をどうぞ。

 


第一章: 導く以外あり得ないwww

 

第一節:最大耐久の最大火力

 シングル戦におけるポケモン対戦の戦い方、パーティの組み方はいくつかある。例えばサイクル構築や積み構築などがそうだ。役割論理もその中の一つである。

 

では役割論理とはどんな戦い方なのか。

一言で言えば、「高火力高耐久によって、サイクル戦でダメージレースに勝つ事を重視した戦術」である。サイクル戦とは相手のポケモンに対して、有利なポケモンに交代してダメージを低く抑えつつ、攻撃に転じたり有利な状況を作ったりする戦い方だ。

 

ここで重要になってくる要素の一つが「どれだけ自分が受けるダメージを抑えて、相手に大きなダメージを与えるか」であり、これが「ダメージレース」である。そのため役割論理で使われるポケモン、持ち物、技は火力と耐久が最優先されるのだ。

 

そして、このダメージレースで勝つための具体的な方法の一つが「交換読み攻撃」である。これは、相手が自分のポケモンに対して有利なポケモンに交代してくるのを読んで、そのポケモンに対して等倍以上で通る技を使うテクニックだが、役割論理でなくとも使っている人がほとんどだろう。

 

しかし、実は役割論理における「交換読み攻撃」はローリスクになりやすいのだ。その理由は役割論理の性質にある。役割論理では自分から攻撃する時は必ず有利対面なので、例え相手に居座られても有利不利が逆転することはない。

 

さらに、役割論理で使われるポケモンは高火力高耐久なので、相手にそれなりの負荷をかけつつ自分は大してダメージを負うことはないのだ。

 


第二節: 如何にして「役割」を見出すか

 役割論理で使われるポケモンは一般的に「ヤケモン」と呼ばれるのだが、ではどのようなポケモンがヤケモンになれるのだろうか。

その答えは、火力(AかC種族値)、範囲(技タイプ)、耐性(タイプ)、耐久(HBD種族値)をバランス良くかつ全てを兼ね備えたポケモンである。

 

こう言うと、なんだかとても厳しい条件に聞こえるかもしれないが、実はそうでもない。なぜならここに「役割」と言う概念が含まれているからである。

 

ここで、この概念を理解するために一つ例を紹介しよう。例えば、マッシブーンは悪ウーラオスに「役割」を持てる。マッシブーンはHABが高く、悪ウーラオスのメインウェポンをどちらも半減で受けられるからである。

これが「役割」だ。

 

対戦勢の方であれば分かると思うが、パーティを考える際に対環境トップ(今であればザシアン)用ポケモンなどを考えて構築を組んだことがあるだろう。役割論理の「役割」はこの考えとよく似ている。

 

誰を仮想敵とするか。誰に有利なのか。

これこそがヤケモンになるための最重要条件だろう。

 

ヤケモンの努力値と性格も説明しておこう。

 

ヤケモンは高火力高耐久でなければいけないので、当然努力値はAかCに252振って残りは全て耐久にまわす。

 

性格は火力が上がる「いじっぱり」か「ひかえめ」。ジャイロボールを使う、両刀型などであれば、「ゆうかん」「れいせい」を使おう。

 

「おいおい、アタッカーがSに振らないのは冗談だろw」。

 

今、対戦勢の方ならこう思っただろう。だが、考えてほしい。役割論理は基本交代戦で、サイクルを回す戦い方だ。交代するなら素早さは必要か。いや、要らない。

 

そう、交代はなによりも優先度が高い行動なので、どちらが速いかは関係無いのだ。Sに振って不確定要素の多い打ち合いに強くするより、火力と耐久に振ってダメージレースで優位に立つことのほうが大切なのだ。

 


第三節:三種の神器

 三種の神器を知っているだろうか。太陽神である天照大神が岩戸に篭って隠れてしまった際に、天照大神を導き出すために使われたとされる「いのちのたま」。

 

天照大神の魂として祀られたとされる「こだわりメガネ」。

 

須佐之男命(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治した際に手に入れたとされる「こだわりハチマキ」の三つであることは周知の事実だろう。

 

さて、冗談はこれくらいにして、こだわり系は技が固定される代わりに威力が1.5倍という破格な倍率を持っている。役割論理ならどうせすぐに交代するので、技固定もさほど気にならない。

 

いのちのたまは1.3倍と十分な倍率を持ちつつ、技の使い分けができる素晴らしい持ち物だ。さらにこだわり系はダイマックスをすると効果が消えるが、いのちのたまであればダイマックスしていても火力が上昇する。

 

役割論理は何よりも火力を重んじる戦い方なので、これらのアイテムは役割論理でも三種の神器として重宝されているのだ。

 

他の持ち物候補は基本的に全て火力UP持ち物で、第八世代では「のろいのおふだ」などのタイプ強化持ち物や「たつじんのおび」がある。見てわかる通り、剣盾では火力UPに繋がる持ち物が少なすぎるので、パーティ内で持ち物の取り合いが起きてしまう。

 

第七世代であれば、メガストーンやZクリスタルも候補だったので、持ち物難民が少なかったが、過去の話をしてもどうしようもない。

 

また、「ゴツゴツメット」や「とつげきチョッキ」などの耐久よりの持ち物については第二章で詳しく解説しているので、もう少し待っていて欲しい。

 


第四節:役割論者は必然力の夢を見るか

 最後はヤケモンに採用される技についてだか、ここで一つ例を見てほしい。

 

イベルタル(役割論理)
ぼうふう/あくのはどう/ねっぷう/きあいだま

 

イベルタル(普通)

デスウィング/あくのはどう/ねっぷう/ふいふち

 

これは役割論理仕様のイベルタルと一般的なイベルタルの技構成だ。

デスウィング→ぼうふう、ふいうち→きあいだまと言ったように、役割論理では技範囲と威力を重視していることがわかる。

 

先制技だとしても、基本は低威力で交代戦においても強みを活かしづらいので採用されない。

 

おや、「ぼうふうは命中率70%じゃないか、当たらなかったら実質威力0だぞ!」。

 

なんだかこんな声が聞こえてきたような気がするなぁ。だが安心してほしい。役割論者には「必然力」があるからだ。

 

あぁ、そんな詐欺師を見るような目をしないで欲しい。

 

ここで、「必然力」の正体を探るために一つ考えてみよう。ポケモン対戦で相手が一撃必殺技を打ってくる時、当たる前提で次の行動を考えるだろうか。また、げんしのちからを積み技として使うだろうか。

 

もちろんそんな人はいない。なぜなら、確率が低いからだ。つまり、30%以下の事象は発生しないと考えて行動していい。

 

ぼうふうが外れる確率はどれくらいだったかな?そう、30%だ。発生しない前提で行動していいということになる。

これが「必然力」だ。

 

そもそも一撃必殺技が当たる可能性を考慮すれば、役割論理の高火力高耐久の意味がない。

これは役割論理が役割論理であるために生まれてきた合理的な考え方だろう。

 


第二章:役割論理改革

 

第一節:役割論理の限界状況

 かつて、たまたま人間を限界づけている普遍的な状況について考えた哲学者がいる。彼はこれを「限界状況」と名付け、死、苦、偶然などの日常的現実を粉砕する状況を指した。

 

役割論理は最高にロジカルな戦い方だが、それでも避けることも乗り越えることもできない根源的な状況は存在する。

 

その結果、役割論理では論理の範囲内でその対策をするヤロテスタント(論理改革派)と論理の原則を遵守するヤトリック(論理原理主義派)の2つの宗派が生まれた。

 

第六世代のメガガルーラがいい例だろう。

知らない方のために簡単に説明すると、全ての攻撃が1.5倍され技の追加効果の判定が2回あり(グロウパンチを打つとA↑↑)技範囲も異常に広い。種族値もA125と書かれているがこれは嘘で、実際はA213のバケモノだ。

 

ここで対策の一つとして挙げられたのが「ゴツゴツメット」だ。

これは直接攻撃を受けた時に、相手の最大HPの1/6のダメージを与える持ち物で、メガガルーラに対しては1回の行動で最大HPの1/3もダメージを与えることができる。

 

しかし、「ゴツゴツメット」は火力UP持ち物では無いので、役割論理的にはあり得ない。

 

ヤロテスタント側の意見としては、サイクル戦の中でゴツゴツメットが発動すれば実質的な火力UPに繋がるというものだが、これは正解でもあり不正解でもある。

 

「相手が接触技を使わなかったら?実質持ち物無しと一緒じゃないか」。確かにそうだ。

しかし、「ゴツゴツメット」が下手な火力UP持ち物よりも働く時だってある。

 

このように、役割論理内でも意見が割れていて、「ゴツゴツメット」を使う者はヤロテスタントと呼ばれているのだ。

 

 

第二節:信仰義認とヤロテスタント

 ヤロテスタントと言っても、どんな対策の仕方をしてもいいわけでは無い。論理から逸脱したやり方はもはや役割論理ではない。

 

しかし、何が論理の範囲か分からない方のために、ヤロテスタントのみ認められている例をいくつか紹介しよう。

 

一つ目は「ゴツゴツメット」だ。

これは先程も紹介したとおり、火力UP持ち物ではない。しかし、役割論理はサイクル戦が主なので受け出しの時に相手にダメージを与えられる。

 

つまり、ダメージレースに貢献できる。それだけでなく、連続接触技(すいりゅうれんだ等)にも極めて強いのでヤロテスタントでは認められている。

 

二つ目が「とつげきチョッキ」だ。

しかし、「とつげきチョッキ」にはヤロテスタント内部でも容認派と否定派が存在する。だが、今回は論理の拡張性を学ぶため、容認派の意見のみを参考にさせてもらう。

 

とつげきチョッキは変化技が使えなくなる代わりに特防が1.5倍される持ち物で、役割論理は基本変化技は使わないので、実質デメリット無しで耐久を上げることができる。耐久が上がることで本来は不可能だった「役割」を持つことができる。

 

しかし、容認派といえど誰にでも持たせるわけではない。

 

「火力UP持ち物を持たせるよりチョッキを持たせたほうが役割を持てる」ことを証明できなければチョッキはありえない。

 

例えば、第七世代ではカプ・テテフがチョッキヤケモンだったが、これは当時のフィールドの威力補正が1.5倍だったことと、チョッキを持たせることで特殊耐久がすなあらし込みH特化バンギラス並になることが理由だ。

 

このように、火力UP持ち物が無くても十分な火力があり、チョッキを持たせることで後出しから「役割」を持つことができるポケモンでなければ、チョッキヤケモンにはなれない。

 

そして、ヤロテスタントにおいてなによりも重要なのは、ヤーティ神に信仰心と敬意を払うことだ。我々はただ信仰と敬意によってのみ義とされる。そうすれば、ヤーティ神のご加護を受けることができるだろう。

 


第三章:純粋役割論理批判

 

第一節:論者と読みとS振りと

 これまで役割論理がまるで完璧な理論のように語ってきたが、じゃあみんな役割論理を使っているのか。

 

残念ながら答えはNOだ。

この章ではその理由を語っていこうと思う。

 

1つ目の理由は、高いプレイングスキルを要求されることだろう。まず、役割論理は前提として「交換読み攻撃」を必要としているので、これを成功させなければ相手に負荷を掛けることは難しい。いくらローリスクとは言え、何度も失敗しては相手に隙をつかれてしまう。

 

さらに、ここまで読んでいてわかったと思うが、役割論理は単調な戦い方である。これは使い手が分かりやすい反面、相手もその分理解しやすいので、行動を読まれやすくなる欠点がある。こちらの交代に合わせて、有利なポケモンに交代することも難しく無いという事だ。

 

これは自分のプレイングで補うしかない。

 

2つ目は、素早さが低い事だ。

これまで「Sは要らない!」と力説してきたが、そうは言っても素早さを軽視することはやはりできない。

 

確かにサイクル戦であればSは要らないのだが、打ち合いのタイミングは必ずどこかでやってくる。

 

例えば相手のポケモンが残り1体の時、相手は交代出来ないので必ず打ち合いが発生する。もし相手が黒バドのような高速アタッカーで、そいつを受けられるヤケモンが倒されていたり、隙をつかれてやられてしまったら、そこから全抜きされることもあり得る話だろう。

 

先制技でもあれば最後の打ち合いにも強くなれると思うが、残念ながら役割論理にそんな考え方はない。

 


第二節:Re:役割論者は必然力の夢を見るか

 今度は必然力のお話だ。

さて、第一章第四節を読んで「なるほど、必然力めっちゃいいじゃん!」と思った方はいるだろうか。

 

もしいるとしたら、あなたは詐欺には十分気をつけてほしい。

 

なんて冗談は置いておいて、必然力が都合の悪いことを押し通すための暴論であることは、多くの読者が理解していることだろう。

 

そもそも一撃必殺技なんて1試合に1、2回しか打たないのに、命中率70%や80%を1試合に何度も打つことと同じと考えることは無理がある。

30%の事象でも、一撃必殺技ではなくサンダーのせいでんき発動率と同じと言えば、なんだかそれなりに起こりそうな気がしてくる。

 

確率の感覚なんて言い方次第だ。

70%はどこまで行っても70%で、外れる時は外れるのだ。

 

しかし、そうであったとしても高威力技であれば勝てた可能性が高い試合だって存在する。

一概に命中不安技を軽視するわけにはいかない。

 

ああ、どうやらこの話は役割論理の限界状況のようだ。これ以上は沈黙するしかない。

 


第四章:ヤーティの黙示録

 さて、この文章を通して一体私がなにを言いたいのか。それはひとえに、読者に役割論理を糧にして欲しいからだ。

 

役割論理を使え、とは言わない。

ここまで役割論理を熱弁してきた私でも、役割論理を不変に最強な戦術だと言い張る事はできない。

 

ポケモンバトルの最強とは、きっと泡沫の如く消える一瞬の栄光なのだろう。その栄光の中に、役割論理の戦術が一部混ざる事だってあるはずだ。

 

その時に、この文章を思い出して、役立てて欲しい。

 

最後は役割論理の聖典の一部を引用して、この本文を締めさせてもらう。

 

「我々は偉大なる真理の神、ヤーティに認められた誉れある者である。役割論理はヤーティによって規定された世界の真理であり、真に勇猛なる戦士の戦術である。我々の敵は悪魔の与えた邪なる知恵であり、その手先の汚れたものの小賢しい策謀が存在する。しかし、憎んではいけない。彼らもまたヤーティの導きを待つ者である。我々は神聖なる聖典に記された聖者・福者の足跡を辿り、必ずや絶対にして完全の勝利を得る事であろう。役割論理に栄光あれ!」

 


あとがき

 本当にお疲れ様です。自分としては「真面目にふざける面白い文章」を書きたかったので、「分からん!なんだこの文は!」ぐらいの気持ちで受け止めてもらえれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

執筆者:かつ